調査を受けるということ

投稿者: | 4月 5, 2021

 「税務調査は怖い」とか「税務調査は嫌だ」とかいう声を耳にします。

 現職の調査官の時よりも、退官してからの方が、よく耳にします。

 ですが、法人や、個人事業主の皆様は、考えようになっては、税務調査を賢く受けることによって、企業の体制をより強くすることもできます。

 税務調査は「無料の外部監査」です。基本料金は無料で、税金の納税額が本来の税額よりも少ない場合にはその差額分と加算税という上乗せ分を納める必要があります。

 しかし、不足していた税金は元々納めるべきだったもので、延滞税も遅延に対する利息分ですから、実際にこの「無料の外部監査」に対して支払う「対価」は税額が過少だった分に対する加算税だけです。

 しっかりと経理がされていて、折に触れ税理士等の専門家に相談をされているのであれば、あまり心配はいらないと思います。

 ぜひ、しっかりと税務調査を受けてください。税務調査官の質問に応じて、御社の事業のことを説明してください。他人に自分の事業のことを説明していると、不思議に新たな商売の種や、現在の事業の問題点が見えてきたりもします。コーチングのようなものです。

 そして、ここが重要なのですが、調査官がどこに関心を持って、どこを見ているのかをよく見てください。

 もちろん、通常の手続きとして、一般的に確認すべきところはありますし、調査官の能力によってはそこの確認で時間が終わってしまうことはありますが、もし、「なんでこんなところを一生懸命に見てるんだろう?」というところがあったら、気を付けてください。

 調査官は、御社の体制に不備がある(と、思われる)ところに生じたミスを想定して、そこを突いてきます。つまり、調査官が検討しているのは、御社の体制の弱い部分です。

 「そこ、問題ありそうですか?」と聞いてしまうのもありだと思います。納税額の誤りの有無にかかわらず、調査の終わりまでには、どのような問題がありそうなのか説明してくれることもあります。

 単なる経理上の問題だけでなく、御社の事業の問題が見えてくることもあると思います。それに対してどう対処するか、それともしないのか。それは御社の経営の問題です。

 ですが、それなりの教育を受けた人間が、御社の財務上の問題点を基本無料で、しかも極めて批判的に監査してくれるのです。

 これを生かさない手はないと思うのですが…。

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